富士山がコンビニエンスストアの上に乗ったような写真を撮ろうと外国人観光客が押し寄せ、住民から苦情が相次いでいた問題で、山梨県富士河口湖町は21日、撮影スポットになっていた歯科医院前に黒い幕を設置した。人気の構図で撮れないようにする異例の対策で、オーバーツーリズム(観光公害)の解消を目指す。
黒幕は高さ2・5メートル、幅20メートルの遮光ネット。町の委託を受けた業者が4月末から工事を進めていた。21日午前から、作業員が歩道と車道の間に立てたポールに幕を取り付けた。
同町船津の井ビシ歯科医院前の歩道には、2022年末ごろから、町道を挟んだ向かいにある「ローソン河口湖駅前店」と、店の背後にそびえる富士山の写真を撮ろうとする外国人観光客が集まるようになった。町は警備員を配置するなど対応したものの、24年に入っても観光客が増え、ごみの放置や町道の危険な横断が頻発していた。
町の担当者は「外国人観光客の増加で限界を超えてしまった。観光地の自治体として苦渋の選択だ」と話している。【野田樹】