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2021/12/07

名調子で講談「山梨物語」 戦争や武将…歴史伝承 3人組活動が話題

名調子で講談「山梨物語」 戦争や武将…歴史伝承 3人組活動が話題

 県内に住む平均年齢83歳の3人で結成した「やまなし講談会」が話題を呼んでいる。講談会を結成したのは、都留市の「
紅都留(べにつる)
」こと板倉圭子さん(76)、大月市の「扇屋
文雀(ぶんじゃく)
」こと井上文男さん(83)、甲府市の「神田甲陽」こと末利光さん(89)の3人。楽しみながら歴史を学べる講談の魅力を生かして、県内の歴史を伝える活動に取り組んでいる。(市川憲司)

 「時は1945年(昭和20年)8月13日。終戦まであとわずか2日という日の朝、都留高等女学校の教室に突然、空襲警報のサイレンが鳴り響きました。ウーーー」
 先月12日の大月市民会館。約200人の観客を前に、板倉さんは「大月空襲」でガレキの下から奇跡的に助かった生徒の体験談を、張り扇で机をたたいて間を取りながら、約13分かけて熱演した。
 体験談の山場は、空襲で娘を亡くした母が、助かった娘の親友に「どうしてあなたが生きているの」と言う場面。娘を失った母の悲しい気持ちと、親友が助かったうれしさの両方の感情を込めて表現したという。板倉さんは「講談を通じて悲惨な戦争を知ってもらいたい」と話す。
 台本は、末さんが実際に被災した生徒の体験をもとに執筆した。板倉さんは約3か月かけて暗記し、この日初めて披露した。
 末さんは元NHKアナウンサーで、県内では珍しい真打ちの講談師。板倉さんは8年前、歯切れの良い末さんの講談を聞いて興味を持ったのがきっかけで、講談を習い始めた。末さんは「講談師としてとても成長した。素質が花開いた」と板倉さんの話芸に太鼓判を押す。
 一方、井上さんは、平安時代末期から鎌倉時代にかけて現在の中央市を治め、没後800年を迎えた武将浅利与一の生涯を自ら物語に仕立て、約1時間かけて身ぶり手ぶりを交えて披露した。
 井上さんは5年ほど前から「地元の偉人の活躍を知ってもらいたい」と、武田二十四将の一人で郡内地域を治めた小山田信茂など、山梨の歴史を題材にした物語を創作。これまでに11編を作っている。
 井上さんは「大勢の人に講談を知ってもらうことができて良かった。県内には講談になる話がたくさんある。今後も創作活動を続けていきたい」と意欲を見せている。

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