顕微鏡をじっとのぞき込み、データをパソコンで管理する女性たちがいる。試験管などが並ぶ一室は、医療技術などの研究が進められている部屋をほうふつさせるが、実は味の深みをより追究する本格的な「高級ノンアルコール飲料」の開発に挑む拠点だ。
その場所は山梨県産業技術センター(甲府市)。開発のきっかけを作った主幹研究員・部長の有泉直子さん(57)も、現在、実際に研究に取り組んでいる主任研究員の尾形美貴さん(46)も実はお酒は強くない。
「お酒の強い人はこんな楽しい体験をしている。飲めない人にも伝えたい」。3年前、有泉さんは酒造組合の関係者と会話する際の話題作りにと、同県北杜市の観光施設「萌木の村」のホテルの一角にあるバー「Perch」を訪れた。ウイスキー収蔵で知られ、高価なウイスキーをストレートで注文。複雑な味わいに驚き、高度数のアルコールを初めておいしく感じた。バーテンダーの久保田勇さん(42)らとの会話も弾み、研究テーマに…